東京・中野区の借家には、庭と呼べるものはなかったので、植木鉢で、檸檬と柚子を育てていた。子供を自由に野原で遊ばせるとかいう運動グループに参加していた女房が、公園の芋虫のために餌をとれるようにしたい、という望みからだった。
が、蝶々は、庭とはえいない借家の植木鉢にだって飛んでくる。柑橘類が好きな揚羽の類いが卵を産み付けて、芋虫だらけになって、葉っぱがなくなってしまうのだった。だから女房がせっせとスズメたちと一緒になって、芋虫退治に精をだすようになるのだが、それって、なんか本末転倒じゃねえか?
棘のある木だ。だから私は、移住後もそのまま植木鉢の中で大人しくしてもらいたかったのだが、これはここに植えろ、これはあそこに植えろ、と指図される。それで、晴れて広々とした地面へと移し替えられたのだった。
伐採されずに残っていた木瓜の大きくなったものもあるのだから、紫陽花をのぞけば、みなトゲトゲの庭木となった。大きくなってからびっくりして剪定しても、もう手遅れ。この野郎とばかりに、太い枝、長いものは5cm以上もある鋭い棘が何列にもなって襲い掛かってくることになる。おそらく猿とかに、早まって実をとらせないための戦略だ。熟してからなら、怒らない(柿が最初渋いのも、同じ理由)。だから手入れも、実がなるように考えながら、木を驚かせないように、怒らせないように、細かく透かしていかなくてはならない。
棘が出てきたら、失敗だ。しかし根が大きく張れば、庭の中に収まるように小さく保つには無理がでてくる。いったい、どうなることやら。
檸檬
柚子
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