2024年6月16日日曜日

庭木の剪定

 


庭木と言えど、そのままな自然成長では、10メートルや20メートル、ツツジなどの刈り込み仕上げにする低木でなかったら、低いものでも5メートルには育っていく。


それを、庭の中におさめるために、3・4メートルで維持していくには、人為的な剪定技術がいる。とくに、日本の文化感性的な要請として、人為性をみせない、その樹木がもった自然な形を反復していくことが、庭木手入れの目指すところとなる。


それにはまず、自然樹木の大もとの原則を受けいれなければならない。それは、日がささなければ木(枝)は枯れる、ということ。だから、各枝は、他の枝を邪魔し日陰を作らないように、お日様へ向かって伸びていく。


木の内側(ふところ枝)や低い位置になってしまったものは、ゆえにそのうち枯れることになる。そうやって、木は外側に、大きくなっていく。


しかし、木を小さく維持したいのだから、この自然成長とは逆に、低い位置にある枝や、ふところ枝こそを生かしていくのが、手入れの要点となる。


外側の飛び出たところにだけ鋏をいれる剪定は、枝葉で傘のような囲みを作ってしまうので、中に日がささず、ふところ枝を枯死させてしまう。また、人為的に手をいれれば、木(枝)も生き延びようと反発し、他の枝を邪魔していく、ところかまわずな枝を発生させてくる。


この邪魔な枝には、剪定マニュアル的に、名前がついている。徒長枝、立枝、絡み枝、交差枝、等。これらは基本的にもとから切除する。だから、基本原則をわきまえないでなされた庭木手入れあとでは、仕立てなおすために、坊主になってしまうようになるかもしれない。


庭木剪定は、生かすふところ枝を表にだしてやるように、内側から大きく抜く。外側はあまりいじらない。そうやって、切り返し剪定でやり、木の大きさをいつも同じにしていく。いくら外側を切っても、腕が伸びるようにして、木は大きくなっていく。


テレビで、寿司職人の握りの技術の話をしていた。二手で、シャリの中を空洞にした握りの形を作らないといけない、という。何回も握っていると、空気が抜けてやわらかさがなくなってしまうのだという。


庭木剪定もこれに似ている。目の前の枝のまとまりから、どの枝を、もとからばかっと抜けばいい日差し加減になるか、パズルを解くように考えることになる。理想は一手、できれは二手で、枝を詰みたい。手を入れれば入れるほど、人為的なゴテゴテ感になって、自然な感じから遠くなる。

0 件のコメント:

コメントを投稿